2021年、世界自然遺産に登録が決まった「西表島」。
世界が認める自然豊かなこの島で、こだわりを持ってパイナップルやマンゴー栽培に情熱を注いでいるのが西表島フルーツ取締役の平井伯享(ひらい のりゆき)。
偉大な大自然の恩恵を受ける西表島だから生まれる美味しいマンゴーやパイナップル。しかし自然にのみ任せるだけではありません。究極のおいしさを求めて経験、感覚にデータ収集、分析という科学を導入し、将来を見据えた栽培にも力を注いでいるのが平井伯享です。
1978年の「西表島フルーツ」創業時からの20年間は、酸味が強く生食用には向かないということで缶詰用の大ぶりなパイナップル栽培を行っていました。
転機が訪れたのは1999年。沖縄県が開発した「ソフトタッチ」というパイナップル品種に目を付け、栽培をスタート。独特な果肉の白さや桃のような芳醇な香りに注目した創業者の川満 洋一氏はこのパインを「ピーチパイン」と名付け生食用の沖縄産パイナップルとして改良に努めました。
いわゆる「元祖!ピーチパイン」ですが、当時は商標登録なんて考えもしなかった時代。既に流通してしまい「今更登録はできないなあ」と平井は笑いながら残念がっていました。
ピーチパインは温暖な酸性土壌地帯に適しており、日差しの強い西表島の気候、土壌でピーチパインはストレスなく生育ができ、これがおいしさの大きな理由とのこと。酸味が低く、優しく深みのある甘さのピーチパインはパイナップルのイメージにある舌がピリピリすることもないので、食べやすく虜になってしまうのが平井のピーチパインです。
西表島に適したピーチパインは、収穫まで開花時期調整の為の農薬を1回のみ(平井はこれを農薬と言われるのは不満そう)。時々問題視される海外からのパイナップルとは大きな違いでもあります。
平井は、名古屋のIT会社からの転身という珍しい経歴の持ち主。
奥様の実家「西表島フルーツ」のピーチパインとマンゴーを初めて食べ、「こんなおいしいパイナップルやマンゴーは食べたことがない!!」と衝撃を受け、ここから平井ワールドが始まります。
「おなじ感動を全国へ広げたい」との想いが増し、結婚を機に奥様の地元である西表島へ移住。
ところが今でもパイナップルは、その美味しさよりも大きさや重さで価格が決まるのが普通という考え方が
残り、これに疑問に感じた平井は「感動・笑顔・感謝」を伝えたい!をコンセプトとし、おいしさを求めて
邁進します。
「農業を始めると西表島の人たちは損得抜きで技術を教えてくれるなど応援や協力をしてくれその人たちへの
感謝の気持ちが僕の作る果実に詰まっています。」と平井は胸を張ります。
この時習得した技術に前職で培ったITを導入し、今度は応援してくれた人たちに感謝を込めて平井の技術を提供。
どうしても大きく育てたい生産者仲間の意識改革に根気よく努めました。
「理解していただくのに時間はかかりましたが、今では皆さん安心してお客様へ提供できるプロです。」と
平井は笑顔でお話いただきました。
そして更に西表島の果物はおいしいと言われるように環境に適した栽培を求め、試験栽培、データ収集と分析を
続け早ければ来年にも新たな手法、新たな果物を紹介できるかも知れません。
平井のピーチパインは黄色の色が濃く、みずみずしいパイナップルが一番という常識をくつがえすものでした。
平井から出されたピーチパインは2種類。1つは濃い黄色。もう1つは白色。黄色も甘くて美味しいのですが、
白い果肉のピーチパインを一口いただいただけでその違いは歴然!
甘さに深みがあり本当に美味しくびっくり。
平井曰く「深みのない水っぽい甘さの黄色いパインは過剰な肥料、特に窒素分の過多が原因。
甘さのみでは本当のおいしさを出せない。酸味とのバランスが重要。」。
今ではパインを大きさのみならず手でたたいた音で美味しいピーチパインかを分別できるという技術まで習得。
この技術の習得はなかなかハードルが高いとのこと。(ですよね)
また肥料を与えれば与えるほど、簡単に果実は大きくなりますが品種によって一番美味しいサイズがある
というのも平井のこだわりです。
ベストな状態でおいしさをお客様に提供をしたいという平井のこだわりは見えないこんなところにも表れています。
パインの畑は広大。苗の植え付けは普通トラクターで行われますが、平井は全てを手植え。
苗と苗の間隔が近すぎると、葉が重なり光合成ができなくなり、
根が重なっては栄養分を取られてしまいます。間隔が離れすぎれば、苗の隙間に雑草が生えて
土の栄養分が取られ、一部に風が当たって部分的に冷えてしまいます。
このようにパインにとって最適な間隔を調べるために、毎年少しずつ間隔をずらしてデータを収集しています。
手植えだと1cmのずれもなく、どのパインにも日光や栄養分を行き渡らせることができるとのことですが
広大な平井の農園では気の遠くなる作業です。
一年中、地道に行う草取りも平井の重要な仕事。
雑草により土壌の栄養分が取られたり、日光が遮られたり、虫がついてしまうことも。
雑草を抜くときに土がかき混ぜられて、土壌の微生物が活性化し土が元気になることも
パインに最適な環境を作るために必須とのことです。
また、植えてから大事に育てて3年目と4年目に収穫。5年目も収穫はできるのですが、おいしさを求める
平井のこだわりのため、1年土を休ませ、また1から繰り返し。
収穫も実によって熟し方が異なるので商品到着後すぐにおいしいピーチパインを食べていただくように
ベストな時期のパインのみを1個1個鎌で刈り取っています。
マンゴーは非常にデリケート。食べ頃が難しく当たり外れを感じたことはありませか?
そんな難しいタイミングを解決したのが平井です。
西表島の偉大な自然の力のおかげで16℃以上に保つ必要のあるマンゴーも西表島であれば
ボイラーによる加熱することもなく太陽をいっぱいに浴びてゆっくりと香りや濃厚な風味のある
ものに育ちます。
しかし自然まかせの栽培では、豊作の年もあれば不作の年も出てきてしまいますし、味も安定しません。
「去年は美味しかったけど、今年のマンゴーはそうでもないね」とお客様がガッカリしないように、
経験・感覚を重視しながら、自然と一体化して日々の変化を感じながら毎年の気象変化への対応を
科学的に行い、糖度計利用など数字で表せる品質管理にも力を入れています。
自然環境に恵まれている西表島ではありますが、こんな手間をかけて育てています。
マンゴーの一番の天敵は、1週間でハウス内のマンゴーを全滅させてしまうほどの害虫です。
通常は農薬散布により除去しますが、平井はできるだけ農薬を使用しないようにと
手間と費用をかけながらこの害虫を食べるスワルスキーにより、できる限り自然の力を借りて
安心できるものを作りたいという平井のこだわりです。
また、1本の枝にマンゴーの実は3〜10玉程実りますが、毎日何周も畑を廻り厳選した1玉だけを残し他の実を
切り落とし甘味を濃縮して育てています。あとは厳選された1玉にしっかりと日が当たるように、
位置を調整しながらも日焼けを避けタイミングを見極めて、袋掛けをします。
平井が栽培するマンゴーはアップル、てぃらら、キーツの3種類。
香りや風味が強く濃厚な甘味、繊維質な食感を味わえる"アップルマンゴー"が最も有名で、ファン
も多い品種です。完熟をすると実が枝から落るためネットを掛けて収穫の日を待ちます。
(実際には実が落ちる直前に収穫します。)
マンゴー収穫で大切なのが、完熟のタイミングを見逃さないことですが、"てぃららマンゴー"は
熟しても枝から落ちることはなく、外観から収穫時期が分かりません。そのため栽培が難しく
マンゴー全国生産量のわずか0.1%しかない幻のマンゴーと言われています。
おいしさの提供が難しい”てぃらら”マンゴーですが、繊維少なめで糖度が高くさらに程よい酸味もある
上品な食べやすい"てぃららマンゴー"に平井は挑みました。
"てぃららマンゴー"をいかに最高の状態でお客様に提供できるか試行錯誤。
データ分析を行い一定時期からの積算気温からベストな収穫時期を割り出すことに成功!
今では、おいしい"てぃららマンゴー"をお客様のもとに届けており一番のおすすめです。
キーツマンゴーは他の2種類に比べ大きく完熟しても赤くならないのが特徴です。てぃらら同様積算温度で
完熟を判断する方法を確立し、貴重なマンゴーを収穫しております。キーツは糖度の高いのも特徴ですが、
収穫時期が難しく栽培農家が極めて少ないため貴重なマンゴーです。
どのマンゴーも平井は生育状況の確認やベストの時期に収穫する為1日に2回畑を廻るという手間暇をかけた
自慢のマンゴーです。
平井のマンゴーは人気が高く発売すると直ぐに完売となります。アップルマンゴーが7月始めから、てぃららが
7月中旬以降、キーツは8月からの発送見込ですが、どのマンゴーもシーズンはたったの20日から1ヶ月という貴重な物ばかりです。
こんに手間暇をかけているマンゴーですが、平井は不満な点も。
本来マンゴーは、冬の時期はあまり雨が降らないほうが良いが、西表島はこの時期雨が降るため、
どうしてもハウスで育て無くていけないのが不満のようですが、
こればっかりは平井でもどうしようもありません。
環境に対しても使命感のある平井はパイナップル畑には時間と共に害がなく分解して
土になる正分解性マルチシートを使用。
これは単に生育の為だけではなく、
赤土が多い西表島で赤土の海への流入を軽減しサンゴを守るという意味もあります。
さらに、近くの有名ホテルと提携し廃棄される食物から液体堆肥を作るなど従来の慣習に
とらわれず環境と美味しさの提供の両立に努めています。
平井曰く「西表島の特性に合ったものを栽培するのが、果実にとってもストレスがないだけでなく、
農薬の面からもベストである」。ボイラーを焚いて重油を使わなくても良いのも環境に優しいようです。
もちろん大自然の恵みがあっても西表島産であればすべて美味しいわけではありません。
おいしさを追求し続ける平井の果物は西表島の大自然と「感覚+科学」だけではありません。
例えば、ピーチパインは、多少は追熟しますが、一般的にパイナップルは追熟しません。その為、海外産は輸送に船便を使う為、ベストのタイミングでの収穫は難しい一方、平井はお客様へのお届けの時がベストになるよう収穫し航空便で配送します。
こんなに究極のおいしさを求め、手間暇かけた平井の作品は、販売可能な時期が限られ口コミで広がり、特に生産量の少ないマンゴーは発売するとすぐに売り切れになります。お買い求めはお早めに!
極・ピーチパインは芯もポリポリ食べれます。